インプラント歯科治療の歴史

太古の昔から歯を失った後の苦労は、人類にとって大きな問題でした。
1931年、南米ホンジュラスのUlloa渓谷で、西暦7世紀頃の考古学的遺跡から、マヤ族の20歳の女性の遺体が発掘されました。この発掘された遺体には、3本の下の前歯が抜けた後に、二枚貝の貝殻で精巧に細工した人工の歯が埋めてありました。
これが、現在発見されている最古の歯科インプラントの痕跡です。

オッセオインテグレーテッド・インプラントの誕生

近代では、半世紀くらい前から、主に骨膜下法やブレードタイプを使った歯科インプラントが盛んに試みられました。
その後、1952年にスウェーデンのルント大学の医師ペル・イングヴァール・ブローネマルク博士が、チタンと骨が完全に結合することを偶然動物実験にて発見したことから生まれたものがブローネマルクインプラントです。

博士は、このことが人体に応用できないかと研究してきました。その結果、人体に拒否反応を起こすことなく骨とチタンが3~6ヶ月で半永久的に結合するという結論を得ました。この現象を「オッセオインテグレーション(osseo(骨との)、integration(結合)という意味)」と名付けたのです。
博士はその後13年間、慎重を期した綿密な基礎実験と動物実験を重ね、チタンがある一定の条件で骨に埋入された場合、チタンに対する骨の拒否反応は全くといってよいほど起こらず、そればかりかチタンの表面を覆う酸素の膜を通して強い結合が生まれ安全性を確信しました。
そして1965年にスウェーデンでヨスタ・ラーセン氏に対して、初めて人工歯根としての臨床応用をスタートしました。

その後、チタンは強度、耐腐食性、加工性のそのいずれもが非常に優れた金属であることから、欧米先進国が積極的にこの歯科治療法を取り入れるようになり、以来今日まで、ブローネマルクインプラントは最も信頼性の高い歯科治療法として、最も長く、そして最も多く世界中で百万人以上に使用されております。
なお、日本でのオッセオインテグレーテッド・インプラントの歴史も20年ほどとなっております。

現代のインプラント歯科治療

最初に歯科インプラントを受けた患者さんは、現在も安定した状態で使われています。
10年以上に渡って、機能しているインプラントは96%以上であり、症例としては98.5%です。こんなに高い生存率は他の外科症例ではあまり考えられないことだと思います。
では、このインプラントの生存率の高さはどこから来るのでしょうか?
それは、チタンが骨と結合するという特質をもっていたからで、この特質により、インプラントは「骨結合型インプラント」へと移行していき、今では、ブローネマルクインプラントは最も信頼性の高い歯科治療法として世界標準となりました。近代に比べても現代では、新しい技術等によって更に発展させて、長年のあいだに治療のデータが数多く集まり、成功率も安全性も格段に進歩しております。