手術回数による治療法の違い

歯科インプラントは、手術を2回行う2回法と、1回しか行わない1回法の2通りがあります。患者さんにとっては、歯科インプラントの結果が同じであれば、手術が1回で済むならその方が良いに決まっています。 しかし、実際には単純に「1回法がお勧め!」とはいえない部分もあります。

1回法

つい最近迄は、インプラントを埋めたばかりの時は骨がまだしっかりと付いていないために、絶対に力をかけていけないといわれ、3~6ヶ月という長い期間「治癒期間」を設ける必要がありました。しかしながら、最新の研究では、次のようなことがわかってきました。

  1. 抜歯直後の傷口を治そうという体の自然な働きがとても強い時期にインプラントを埋めるとかえって骨が良くできること
  2. 抜歯後長く置いておくと大事な部分の骨がすっかりなくなってしまい逆に不利になってしまい、骨が消えない早いうちに埋めたほうが有利なこと
  3. 正しく埋めこまれていれば、初めから充分に噛む力に耐えられること
  4. 一定の条件を満たせば、力がかかったほうが骨の回復が早いこと

一方、技術的にも、抜歯直後に埋め易く作られたインプラントやそのための技術および器材が増えてきました。こうした背景から、歯科インプラントの際の手術を1回で終わらせる「1回法」が生まれてきました。中には全て1日で終わらせる場合もあります(とても特殊な治療なので誰にでも治療できるわけではありません。また、すぐに最終的な歯を入れられる場合はとても少なく、殆どは仮の歯を使います)。

このように、1回法は頭出しの手術が必要ありませんので、1次手術の後、局所麻酔をして歯肉を切開する必要がなく、外科手術が一回で済むので患者さんにとっては楽です。しかし、歯肉から露出しているため1次手術後に口腔清掃がうまくいかなかったりすると、インプラントが骨と確実に結合するまでに細菌感染する可能性や、何らかの圧力がかかることによって、インテグレーション(骨とフィクスチャーの結合)が阻害される可能性があります。特に、骨の高さや厚さが不足している場合などの骨増生が必要な場合は感染のリスクが高くいものと言われています。

代表的な1回法のインプラントはITIインプラントシステム(ITIインプラントについてはこちらを参照)や、「AQBインプラント」と呼ばれるもので、チタンよりも骨との結合力が強いといわれるアパタイトをコーティング材として使用することで、(2回法で3~6ヶ月かかる)治癒期間を2ヶ月程度まで圧縮(治療期間は半減)し、従来から言われている問題点を小さくすることが出来ています。
なお、通院回数は1~2回程度になります。

2回法

2回法は1回法と違い、インプラントが歯肉に完全に覆われている状態ですので、1次手術後に頭出しのための歯肉の切開(手術)が必要となります。その分、患者さんにとっての負担が大きくなりますが、2回目の手術は軽微であり、また、インテグレーション(骨とフィクスチャーの結合)が阻害される可能性が低く、骨とより強固に結合するため、1回法よりも2回法の方が成功率が高い、といえます。 なお、通院回数は、最短で5・6回程度になります。