インプラント歯科治療に適さない人

歯科インプラントは、基本的には歯が欠損しているどなたにでも治療できます。
治療に適しているのは、手術部の骨に異常がなく、周りの歯の歯根に感染症がないこと、通院や普通の歯科治療が可能な方であれば、歯の位置(奥歯でも前歯でも)や本数に制限はありません。
一方、歯科インプラントに関する技術は、目覚しい進歩を遂げており、以前は治療困難な症例でも、今では可能な症例が増えてきています。しかしながら、次のような方は適さない場合がありますので、歯科医師の先生によく相談されてみてください。

(1) 年齢的な制限

歯科インプラントイメージ 歯科インプラントは、顎の骨にインプラントを埋め込むため、骨が成長段階にある未成年の方は、すぐに受けることができない可能性があります。
1996年スェーデンで若年者に対するインプラント治療に関するコンセンサス会議行われ、Kochらが、インプラントは顎骨の成長に対応しないことから、生物学的に成長を終えた後を適応年齢としています。成長を終えたとは、身長でいえば、3年間で0.5cm以下の成長を示すものとしており、年齢は、男性で22歳くらい、女性で20歳くらいといわれています。 骨の成長が安定したらインプラントが可能になりますので、それまでの間、入れ歯などの別の治療法で対処しながら骨の成長経過を観察し(ブリッジでは健康な歯を削ってしまうため、将来インプラントに移行することを考えている場合は、多少不便でも入れ歯にすべきです)、成人後にインプラントを開始するケースがあります。
高齢については、加齢だけが不可能にする要素とはなりません。全身的に健康であり、安全に手術を行うことができる体であれば、年齢は関係ありません。ただし、高齢者は術後の腫脹や感染等炎症症状に対する反応が違うため、手術に関しては、愛護的にかつ感染予防に十分に注意し行うことが大切になります。

(2) 全身に以下の疾患がある場合の制限

インプラントを埋入する手術を行う関係で、以下のような全身病の疾患がある場合は出来ない場合があります。

  1. 高血圧で、降圧剤等によりコントロールがされていない方。
  2. 心筋梗塞、脳梗塞を起こしてから、半年以内の方。
  3. 血液疾患のある方。(血友病等)
  4. 重度の糖尿病のある方。 糖尿病の方は、外科的な治療を行いますと傷口の治癒に遅れが見られたり、 感染症のリスクが健康な方より高くなります。しかし、血糖値の管理がきちんと行われている方であれば可能です。手術前に抗生物質を服用し、手術後の経過観察をしっかり行えば、健康な方と同じように治療をすることができます。
  5. 肝臓疾患、心臓疾患を有する方
  6. その他、いろいろな理由で、医師が小手術には耐えられないと診断された方。

(3) 顎の骨が痩せて細くなってしまった方、上顎洞が大きい方など

歯が抜けてから、長期間放置していたこと等により、お口の中が大きく変形してしまった場合や、顎の骨が痩せて細くなってしまった方、上顎洞が大きい方などは、GBRソケットリフトサイナスリフトなど、特殊な付帯手術が必要になる場合があります。ただし、全歯欠損の時に用いられることの多いALL-ON-4インプラントシステムの場合は、ソケットリフト等の補助治療なく、インプラント埋入が可能です。

(4) 医師(手術者)との協調が得られないような精神的に問題のある方

(5) アルコール依存症の方

(6) チタン(タイタニウム)に対するアレルギーのある方など

(7) 骨粗しょう症の方

顎の骨にインプラントを埋入するため、骨粗しょう症(骨の密度が減少して骨折しやすくなる病気)の方は、一定の数値をクリアしていなければ困難になります。

(8) 歯ぎしり・くいしばり

歯ぎしりやくいしばりは、噛みあわせがずれている時などにみられます。これがあるから歯科インプラントが出来ない、ということではありませんが、その耐久性的な面(歯ぎしりは天然歯やインプラントに強い負担がかかるため)から問題があります。ただし、咬み合わせ治療を行ったり、就寝時にマウスピースを使用し歯ぎしりを直すことでインプラントを長持ちさせることが可能です。

(9) 喫煙量の多い方

煙草を吸う方は、吸わない方より毛細血管の血流が悪いため、傷の治りが遅くなることがあります。また、歯周病にもなりやすいという問題があります。ただ、喫煙量の多い方が、歯科インプラント治療が出来ない、ということはありません。

(10) 妊娠中の方

妊娠中の方は、レントゲンやCTを撮ることができないので、ご出産後に治療を開始します。